2016年8月~9月にかけて、私は起業1年目の収支を精緻化するとともに、自己資金で運営できるのか/資金調達が必要なのかを検証しました。

会社設立に必要な費用はネット上でいくらでも情報が手に入りましたし、人件費や広告販促費についてもこれまでの社会人経験の中でベースとなる感覚があり容易に検討ができました。費用面で最も頭を悩ませたのは、日本料理教室を展開する物件の初期費用や月々の賃借料です。

外国人向け料理教室は既に多少の先行事例がありましたが、そのほとんどは自宅のキッチンで数名を教えるというスタイルのものでした。私は自分自身が料理を教える発想はなく、スキルを持つ人を雇って教室展開をするつもりでしたので、そのための場所が必要でした。東京・大阪に絞って不動産検索サイトで情報を集め始めたのですが、料理教室用物件というカテゴリーがそもそもないため、飲食店用で探すことにしました。探すといっても今すぐ借りるためではなく「いくらぐらい費用を見込めば良いのか」という、あくまでも予算感覚をつかむための検索です。

夏休み中に目星を付けた物件を8月末~9月初旬にかけていくつか見学し、私の中で事業計画に必要な数字の要素がほぼ出揃いました。その数字を踏まえて資本金や運営資金を検討し、開業は自己資金で賄えると判断しました。このような作業を積み重ねながら、起業の決意が次第に現実感を増していき、私は二度目の面談を藤森さんに申し込んだのです。