ラフな事業企画を作った段階で、誰かのアドバイスを得たくなった私は、藤森義明氏にアポイントを申し込みました。

2016年8月2日に面談が実現し、LIXILグループ前CEOの藤森さんに、当時LIXIL社員だった私は「今日は社員としてではなく、一社会人としての私の相談に乗って欲しい」と話を切り出しました。一通り事業企画を説明すると、藤森さんは「岡本さん、これってLIXILを辞めるっていう話なの?」と問われ、私は「はい、それも含めて考えています」と答えました。

さすがに驚かれた様子でしたが、頭ごなしに反対されることはありませんでした。冷静に企画内容の全体感についてコメントされた後、新規事業成功のポイントとして「パッション」「アイデア」「エナジー」の3つを提示されました。そして最後に「自分が今持っているものを全部捨てられるのか。自問自答すること」という重い宿題を私に課したのです。

写真:川本聖哉