今回は「ムスリムフレンドリー」に関するお話です。
ムスリムとはイスラム教徒のことで、全世界の人口の1/4を占めていると言われています。アジア、とりわけインドネシアやマレーシアに多く、これらの国々からの訪日客は年々高い伸びを示しています。そこでムスリムの人たちが安心して日本料理を楽しむ環境の整備が求められているのですが、提供する側からすると何をどこまで対応すれば良いのかがわかりづらい状態になっています。
ハラル(許可されているもの)という言葉をお聞きになった方も多いでしょう。大阪にも数は少ないものの「ハラル食材店」が存在しており、そこで売られている食材は最も高いレベルでムスリムが安心して召し上がれる食材ですが、残念ながら「ハラル食材店」だけの材料で多彩なメニューを提供することは難しいのが実情です。
一方、ムスリムの人たちが全く同じレベルで食に関する禁忌を持っているのかというと、国や個々人によってバラツキがあり、全世界で統一されたルールがあるわけではないそうです。例えば日本在住のムスリムの知人は、豚肉は食べないけれども飲酒はします。またハラル認証を与える機関も複数あり、それぞれの基準は統一化されていません。
そこで「ムスリムフレンドリー」という考え方が大切になってきました。食における「ムスリムフレンドリー」は、食の提供者側が自分の身の丈にあった対応をし、その情報を開示すること、そしてムスリムの人たちに選択を委ねることです。日本料理を楽しみたいと思っているムスリム旅行者をことさら特別視するのではなく、ムスリムのことを理解しておもてなしすることが何より必要なことだと考えています。