ビジネスに迷いはつきものですが、今最も迷っているのはSakura cookのメニュー展開についてです。

オープン当初は「寿司」と「天ぷら」のコース料理に絞り、そのクオリティには強いこだわりを持って展開してきました。クオリティというのは、食材はもとより指導者のスキル、きめ細かく設計したクッキングの工程、テーブルを演出する小物など全ての体験が、上質で顧客満足度の高いものであるという意味です。また同時に、自宅に戻って再現できる料理であることも大切にしており、特別な道具を必要とするメニューは組み込まないようにしています。

6~7月に抹茶を中心としたコースと、お弁当のコースを加えて4コースのバリエーションとしましたが、新しいコースの中でもクオリティや再現性に対する考え方は貫いています。

さてSakura cookにはメニューに関する色々なお問い合せがあり、例えば「石臼と杵でのお餅つき体験がしたい」「ラーメンをスープから取りたい」などのご要望を聞くことがあります。いずれも道具の投資などをすれば、やってやれないことはないのでしょうが、前述のクオリティを維持できるかという点で疑問が残り、お断りすることもしばしばです。

そういう中で、ホテルや旅行社の方々からよくリクエストをいただくのが「大阪らしい」メニューです。たこ焼、お好み焼が代表格ですが、たこ焼は「たこ焼器」がないとできませんし、お好み焼は普通の店舗でも自分で焼くことがありますので、料理教室との違いを打ち出すのが難しいと思っています。また、何よりもSakura cookに現状来られているお客様とターゲットが違うということが、迷いを増幅してしまいます。

会社を経営する以上、もちろん集客は増やしたいと思いますが、一方でコンセプトを崩せば自分たちが何者かがわからなく怖さも感じます。「何でもできます」は「何にもできません」に等しいのではないかとの思いが湧いてくるのです。

この「大阪らしさ」との戦いは、もうしばらく続きそうです。